奈良県の大和郡山市にある「矢田寺」正式名称「金剛山寺」は天武天皇の勅願により創建された寺院です。
この寺院は現在は北僧坊・矢田寺大門坊・矢田寺念仏院・矢田寺南僧坊の4つの僧坊を総称して矢田寺と呼んでいるようで、奈良県最大の「紫陽花」の見どころとされます。
そんな矢田寺の御朱印を中心に紹介していきます。
矢田寺の見どころ
矢田寺は「あじさい寺」と呼ばれる通り、紫陽花で有名です。
奈良県下では一番有名とされ、同じく奈良県の長谷寺よりも人気があるようで、日本経済新聞土曜版で掲載されるNIKKEIプラス1・何でもランキング(2019年5月25日)において、専門家が選んだアジサイの名所で神戸市立森林植物園(神戸市)に次いで西日本で第2位に選ばれたほどです。
大門坊のホームページには「紫陽花の開花情報」を提供しているページもあり、定期的に園内の様子を配信しています。
紫陽花園は大きく三か所あり、「紫陽花見本園」「回遊式紫陽花大庭園」「その他の紫陽花園」があります。
見本の名前通り矢田寺で栽培されている紫陽花を展示しており、それぞれ名前もしっかり表記されています。
入口には有名な「味噌なめ地蔵」があります。
紫陽花の間を縫うように石段からなる歩道があり、その中を歩いて紫陽花園を散策できますが、如何せん雨が降った後は石段が濡れて滑りやすいので細心の注意を払いながら鑑賞してください。
なお、このあじさい大庭園にはテラスがあり、眼下に紫陽花が広がる姿を鑑賞できます。
本堂北にも紫陽花があり、他に塔頭寺院でも紫陽花が栽培されています。
6月の1日から30日の期間限定で本堂の内部が特別公開公開されています。
本堂内で拝観料は500円必要です。
重要文化財に仏像が公開され、本尊の「地蔵菩薩」と裏堂にある「試みの地蔵」は阿弥陀如来のように右手を輪にしている珍しい姿で、矢田寺特有のお姿をされます。
なお、バスで乗車した人はバス停降車時に待機している奈良交通の職員から「本堂拝観の割引券」を渡されるので、本堂内で見せると100円引きとなります。
また、左右にある二体の持国天、増長天は奈良唐招提寺の像を模刻したものとされます。
同じく「閻魔堂」は同時期に無料で公開されており、こちらでは大きな閻魔と十王、奪衣婆など地獄でお世話になる怖いお人が迎えられます。
矢田寺の御朱印受付時間や場所
矢田寺の御朱印の受付場所は本堂と四つの塔頭で授与されています。
本堂の外陣にある授与所でいただけます。
御朱印は授与所にて見本が掲示され、いただきたい御朱印を選ぶことができます。
自家製のカレーが提供されている塔頭で、紫陽花の時期は特別御朱印のみ販売しています。
通常の御朱印を頂くにはこちらから申し出る必要があります。
こちらも紫陽花の時期は特別御朱印を二種類(2023年度)のみ販売しています。
通常の御朱印を頂くにはこちらから申し出る必要があります。
矢田寺では一番最初にある塔頭で、矢田寺のホームページはこちらの寺院が管理しています。
御朱印は授与所にて見本が掲示され、いただきたい御朱印を選ぶことができます。
これらの授与所で御朱印が授与される時間は、 9:30~16:30となり、本堂の拝観や紫陽花園もこの時間までの公開です。
矢田寺の御朱印種類・初穂料(御朱印料)
矢田寺の御朱印種類は以下の通りです。
本堂 | 地蔵尊 |
南僧坊 | 毘沙門天 閻魔大王 |
北僧坊 | 虚空蔵菩薩 不動明王 紫陽花時期の特別御朱印(見開きの絵御朱印) |
念仏院 | 大悲殿 紫陽花時期の刺繍御朱印 紫陽花時期の切り絵御朱印 |
大門坊 | 大金剛 摩尼殿 |
その他 | 大和地蔵十福 |
なお、本堂で授与される「地蔵菩薩」の御朱印は南僧坊、大門坊でも授与されています。
御朱印は基本的に御朱印料300円となりますが、特別御朱印は500円、またはそれ以上の料金が必要です。
矢田寺の御朱印
矢田寺の御朱印種類に沿って御朱印を紹介します。
地蔵尊
6月限定で本堂で授与されており、通常は大門坊と南僧坊で授与されています。
中央に地蔵菩薩の御宝印があり、右上に「大和十三仏霊場第5番」、左下に「矢田山金剛山寺」の印が押され、中央に「地蔵尊」と崩されて揮毫されています。
毘沙門天
南僧坊のご本尊の御朱印です。
中央に御法印があり、左下に「大和矢田寺南僧坊」、右上に「天武天皇勅願寺」の印があり、中央に「毘沙門天」と大きく揮毫されています。
南僧坊で珍しいのが年・月・日に印を入れ、日付を揮毫するというスタイルです。
加えて「大和矢田寺南僧坊」と左側に揮毫され、別の御朱印では「大和矢田寺〇〇」と揮毫されています。
閻魔大王
閻魔堂のご本尊である閻魔大王の御朱印です。
中央に御法印があり、左下に「矢田寺南僧坊」、右上に「日本第霊寶」?の印があり、中央に「閻魔大王」と大きく揮毫されています。
左には「大和矢田寺エンマ堂」と揮毫されていますが、エンマとカタカナで揮毫されるのも特徴的です。
三尊
矢田寺本堂の本尊である地蔵菩薩と左右の脇侍を御朱印にしたものです。
右上に朱字で「開運守護」とあり、中央に「金剛山寺」と大きな印が押され、その上に三尊の御影像が押されています。
中央には本尊の地蔵菩薩を大きく揮毫し、左右に一回り小さく脇侍「吉祥天」と「十一面観音」と揮毫されています。
感謝
南僧坊の絵付き御朱印です。
中央におそらくご本尊の地蔵菩薩を絵文字かしたものを揮毫し、顔に「御宝印」を揮毫し、頭上に「感謝」と崩されて揮毫されています。
左側には「大和こおりやま やたのおじぞうさま」とひらがなメインで揮毫されます。
虚空蔵
北僧坊のご本尊の御朱印です。
中央に虚空蔵菩薩の「御宝印」、右上に「天武天皇勅願寺」、左下に「別当北僧坊」と印があります。
かつて別当寺であったことを矜持しているのでしょう。
中央には大きく「守り本尊虚空蔵菩薩」と揮毫されています。
不動明王
2023年の紫陽花の時期は授与されていないようですが、閑散期は授与されているようです。
私はいただくことが出来ませんでした。
基本形は虚空蔵菩薩と同じで、真ん中の御宝印が不動明王のものになっています。
見開き御朱印
見開きの御朱印は複数(十種類以上)あり、枚挙にいとまがありません。
本尊の虚空蔵菩薩他、紫陽花をモチーフしたものがあります。
御朱印料は500円で、毎年デザインが変わり、すべて書置き形式となります。
大悲殿
念仏院のご本尊の御朱印です。
2023年の紫陽花の時期は授与されていないようですが、こちらから申し込めばいただけるかもしれません。(因みに私は拝受を忘れました。)
中央に「御宝印」があり、右下に「念仏院」と印があり、右上に「矢田山」、中央に「大悲殿」と大きく揮毫されています。
刺繍御朱印
2023年から新たに授与された御朱印のようです。
地蔵の十福というのは地蔵菩薩を信仰することで得ることのできる十種類の福(功徳)のことです。
刺繍の御朱印ということで、書置きのみの対応となり、裏返すと糸で表現されているのがわかりますが、糸が浮き出ているため御朱印帳に貼ることはできません。
刺繍は左上に雲、右下に紫陽花を縫い合わせています。
中央に「御宝印」があり、その隣に「矢田寺 念仏院」と揮毫されています。
これをベースとして、地蔵の十福の言葉を十種類いれています。
この紙は「耳付き紙」といって和紙を刃物でカットせずに、漉き上がったままの状態の和紙が使用されています。
筆者は文言のかっこよさから「神明加護」をいただきました。
御朱印料は1300円となり、1300円×10種類集める人もいるかもしれませんが、寺院側が数量を限定していたかもしれません。
切り絵御朱印
切り絵御朱印は色違いで二種類あります。
紫陽花に囲まれた地蔵様(ご本尊と味噌なめ地蔵?)を切り絵にしているようです。
右上に「矢田山」とあり、その隣に大きく「観」とあり、「観世音菩薩」のことと思われます。
その下に「念仏院」の印と左に揮毫があります。
御朱印料は1300円で、6月の最終日までに刺繍の御朱印とともに売り切れたようです。
摩尼殿
大門坊のご本尊の御朱印です。
右上に「天武天皇勅願寺」とあり、中央に「御宝印」、左下に「矢田寺大門坊」の印があり、中央に摩尼殿と大きく揮毫されています。
大金剛
門坊で授与されている閻魔堂の御朱印で、揮毫方法が違います。
右上に「えんま詣り」、中央に「御法印」があり、左下に「矢田寺閻魔堂」と印があり、中央に「大金剛」と揮毫されています。
大和地蔵十福
上記の他に矢田寺では「大和地蔵十福」の御朱印がいただけるようです。
ただ、こちらの御朱印の見本はなく、専用の「御朱印台帳」にのみ揮毫されるものと思われます。
南僧坊ではその「御朱印帳台帳」が販売されていました。
矢田寺のオリジナル御朱印帳のデザイン・サイズや価格
矢田寺では二つの塔頭でオリジナルの御朱印帳が配布されています。
南僧坊
矢田寺では御朱印の種類とともに唯一見本が掲示されていました。
サイズは16センチx12センチの小判サイズで、料金は1700円(御朱印代別)となります。
紺・赤・緑の三色を下地として、白い紫陽花が表裏に描かれています。
また矢田寺など寺院の名前はなく、完全な紫陽花の絵だけの御朱印帳です。
大門坊
授与所で御朱印帳らしきものを見た記憶があります。
さまざまなカラーでありましたが、寺名などは入っていません。
なお、念仏院、北僧坊ではオリジナルの御朱印帳は確認できませんでした。
北僧坊にはかつて存在はしていたようです。
矢田寺へのアクセス&駐車場情報
閑散期は臨時バスがあり、近鉄郡山駅他、JR法隆寺駅からも矢田寺行きのバスが走りますが、紫陽花の時期はその手前のバス停「矢田」で降りることになり、やや勾配のある坂道を昇ることになります。
バス停には奈良交通バスの職員が待機しており、矢田寺の割引券の配布などを行っています。
紫陽花の時期はJR法隆寺駅と近鉄郡山駅から臨時バスが就航しており、足には事欠きません。
臨時バスについては、奈良交通のホームページがくわしいです。
なお、閑散期は近鉄郡山発のバスは通常通り「矢田寺前」まで走ります。(法隆寺駅はありません)
矢田寺の駐車場は、参道の左右に五カ所ほど点在しています。
どの駐車場も駐車料金は500円(2023年6月)でした。
バス停から先に進むと駐車場とともに参道が見えてきます。
山門の先に拝観の受付があり、その先の石段を登っていくと塔頭や本堂のある境内に行けますが、この石段がかなり急なので紫陽花園と同様に滑りにくい靴を履きましょう。
さいごに
矢田寺の周辺には、「東明寺」と「松尾寺」という、これまた重要文化財の仏像を所蔵する寺院があります。
特に東明寺は6月1日から15日に限り、本堂を公開しており、重要文化財の本尊「薬師如来をはじめとする古仏のお会いでき、御朱印もあります。
道すがら矢田寺と一緒に参拝する方も多いです。
最寄のバス停は「横山口」となり、そこから徒歩30分です。
また、ハイキングコースが設定されているようで、時間に余裕があればこの三か所を参拝するのも一興です。
御城印を集めている方は車で直ぐのところにある郡山城へ是非足を運ばれてください。
矢田寺の詳細 | |
住所 | 奈良県大和郡山市矢田町3506 |
電話番号(大門坊) | 0743-53-1445 |
公式HP | 【大門坊】 http://www.yatadera.or.jp/ 【念仏院】 https://yatadera.jp/ 【北僧坊】 https://kitasoubou.com/ |
公式SNS | 念仏院 |